平成21年 刑(わ) 第2676号 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律違反、住居侵入、傷害
渡邊孝行(34)
被告人質問です。
さて、愛という言葉は出てくるのでしょうか。
弁護士「今年の8月22日、この日、この時点で、保護命令が出てるのを十分に知ってましたか?」
渡邊「はい!」
弁護士「そこには、今回の被害者の家に近づいてはいけないと書いてありましたか?」
渡邊「はい!」
弁護士「それなのに何故、近づいたんですか?」
渡邊「やはり、約束していたにも拘らず、5回も6回も電話で約束していたにも拘らず、そんなこと言った覚えがないと言われ、連絡も途絶えてしまったからです。以上です」
弁護士「それで、なにをしに被害者の家に行ったんですか?」
渡邊「自分はパニック状態で、その時はやっぱり悔しさがありました。それで自分の真剣さを伝えたいと思い、待ってました!」
弁護士「家に行った時点で持っていたナイフで、刺してやろうと思ってたんですか?」
渡邊「自分はパニック状態でしたが、6年間も一緒に暮らして、共に泣き、笑い、そんな愛した人を殺めることは出来ないと考えてました!」
え?ということは、殺そうとは思ったんだ…。
だって、そこを考えないなら、殺めてはいけないなんて考えないでしょ。
それにしても、出ましたね。
愛という言葉が…。
意味不明ですよね。
『そんな愛した人を殺められない』
こんなこと言ってますが、今まで殴ってた、今回も殴った、そんな奴の言葉じゃ、どうしても愛という言葉が薄っぺらいものに感じてしまいますよね。
弁護士「あなたのお話や供述調書を見ると、そこには度々、約束という言葉が出てきますよね?」
渡邊「はい!」
弁護士「“あなたが真面目で優しくなって、経済力をつければ復縁を考えてもいい”というものですよね?」
渡邊「はい!」
弁護士「その約束を、どう考えていたんですか?」
渡邊「それが支えになり、スロット、パチンコをやめて、被害者に仕送りをしようと思ってたんですが、被害者にとんでもないことを言ってしまいました!後遺症を与えるくらい、傷を与えてしまい、仕事をがんばろうと、嫌な仕事でしたが、1年後には彼女に会えると思って頑張ってきました!以上です!」
弁護士「あなたの話を聞いてると、今回のことは彼女が約束を破ったから悪いと考えてるように見えるんですが?」
渡邊「留置場では、雑居でした。それから拘置所では独居に入り、考える時間がたくさんありました。それで、女性は支えるべきもので、それなのに傷つけて、今回のことで後遺症が残ってないか、ずっと心配してまして…」
弁護士「その辺でいいです。今回のことの原因は、彼女が約束を破ったからですか?」
渡邊「いえ、きっと約束を破ったのではなく、守れなかったんだと思います!僕が駄目になると思ってくれてたのか、彼女の真意は分かりませんが、彼女はいつも人より私のことを思ってくれる人でした!だから私には、そう思えてならないのです!」
なんなの…。
こいつ完全にドラマの主人公気取りでしょ…。
こういう考え方をされると、逆に怖いですよね。
完全に嫌われたと思ってくれないと、また次がありそうじゃないですか。
弁護士「彼女と話す機会があって、彼女はこう言ってました。『育った環境など、あの人は恵まれてない可哀想な人。今回のことで、死のうとか考えないでほしい。自分の居場所を見つけてほしい』という異例の言葉を頂きました。どう思いますか?」
渡邊「それを弁護士先生から聞いて、涙が溢れて出てきました!その涙の理由は、こんなことしたのに、まだ自分のことを思いやってくれてる、愚かなことをしてしまったという色々な思いで、先生の前で号泣してしまいました」
違うね。
結局、彼女はお前が怖いんだよ。
お前が執行猶予がつくであろうことも検察官から聞いてるのさ。
だから、お前を罵倒するような言葉や、突き放す言葉が、怖くて言えないんだよ。
特にお前の弁護士なんかには、口が裂けても言えないのさ。
だから、お前のやるべきことは、そういう作られた彼女をそのまま受け入れることではなく、そうやってお前に対しても、彼女は自分を作るようになってしまったことを受け入れなければならない。
分かるか?ようするに終わりを自覚するべきだ。
お前の話を聞いてると、まだ彼女は自分に気がある、自分が真面目に仕事して優しい男になれば戻ってくる。
未だにそう思ってるように感じるよ。
怖い。そんなんじゃ怖すぎるわ。
弁護士「弟さんが、拘置所に来てくれましたね?」
渡邊「はい」
弁護士「そんな弟さんに対して、どう思いますか?」
渡邊「弟とは、生まれた時からずーっと暮らしてました。自分のことを1番分かってくれてるのは弟です。拘置所に来てくれた時、お礼を言いました。でも、そんな弟に生意気なことを言ってしまいました!自分も暴力を振るってしまうこともあると言うので、女性は守るべきもので、そんなことしちゃいけないよと言ってしまいました」
ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン…
え?ちょっと待って。
こいつはなにが言いたいわけ?
なにを必死にアピールしようとしてんの?
弁護士「今回、この事件を起こした本当の原因はなんですか?」
渡邊「保護命令が出ていたにも拘らず、彼女がチャンスをくれたにも拘らず、自分が約束を勘違いしてしまいました!自分が悪いのです!彼女は悪くないです!」
いや、誰も彼女が悪いだなんて、言ってないし、思ってもいないから。
そういうことを言ったのは、お前だけだから。
弁護士「あなた自身の性格自体に問題があったと思いませんか?」
渡邊「はい、自分は短気なところがあって、仕事の時、ヘルメットを投げつけてしまい、次の日から行かなくなるということがありました」
弁護士「そういったことも踏まえて、繰り返さない為には、どうしたらいいと思いますか?」
渡邊「自分は刑務所に行かなければいけない身だと思います!もっと反省を深め、世の中の道理などを学んでいかなければならないと思います」
弁護士「もう被害者に一生、近づかないと誓えますか?」
渡邊「はい、こんな人間として最低な男が、彼女と顔を合わせるわけにはいきません!自分は2度と彼女には会いません!」
弁護士「額の傷を見せて下さい。(ここで被告人が額を見せる)それはお父さんにやられた傷ですか?」
渡邊「父に角材で殴られたものです」
弁護士「お父さんに暴力を受け始めたのは何時頃ですか?」
渡邊「8歳くらいの頃だったと思います」
弁護士「どんな暴力を受けてきたんですか?」
渡邊「亡くなった父親のことを、あまり悪く言いたくないんですが、父親は酒乱でした。お酒を飲まないと良い人なんですが、飲むとガラッと変わって、木刀とか持ち出す人でした。それで中学の時に家を出て、ホームレス生活をし、公園のトイレで生活したこともありました。でも、父親を恨んでません!」
弁護士「そういうことが、人を傷つけて良い理由にはならないということは分かってますか?」
渡邊「はい!」
検察官からの質問です。
検事「今回以前にも被害者に対して暴力を振るったりしてたんですよね?」
渡邊「はい!自分は…」
検事「分かりました。では、なんで彼女に暴力を振るってたんですか?」
渡邊「大体、金銭面のことで口論になることが多かったです。大抵、口論になると、『別れよう。あんたみたいな男と一緒にいたくない』と言うのです。私は彼女のことを愛してたので、別れようと言われてカッとして」
検事「別れようと言ってるところに暴力を振るったら、なおさら不味いでしょ?」
渡邊「僕のことを愛してる?と聞いたら、愛してるよと言ってくれて、だから今回は殴られたけど、許してあげると言ってくれました!」
検事「あなた社会復帰した時、住む家があるんですか?」
渡邊「寮付きの仕事を探そうと思います」
あぁ、こいつ住むところがないのか…。
なら、刑務所行ったほうがいいんじゃね?
トイレの便所で生活しながら、彼女への恨みを再び燃え上がらせる可能性がないともいえないし、彼女を頼ってつきまとう可能性も否定出来ないでしょ。
検事「現時点ではないんですね。頼れる人はいないんですか?」
渡邊「頼れる人は弟だけです」
判事からの質問です。
判事「その弟さんは、どんな仕事をしてるんですか?」
渡邊「横浜のPというパチンコ店で主任をしてます」
判事「面会は、何回来てくれたんですか?」
渡邊「1回です」
判事「あなたを見てると、興奮してるように見えるんですね」
渡邊「大変申し訳…」
判事「自分で自覚してますか?」
渡邊「そう見えたら申し訳ありません。緊張してるので」
私が前回、こいつは叫ぶように大声で話すと言ったじゃないですか?
そういうところへの異常性を、判事も感じたのではないでしょうか。
判事「自分の気持ちを抑えられないというのはありますか?」
渡邊「捕まるまでは、短気なところがありました」
判事「今後はどうですか?」
渡邊「今後は、彼女のくれた言葉を胸に抱いて、真っ当に生きていきます」
| 論告 |
| 本件犯行の動機や経緯に酌量の余地はありません。 交際を解消され、保護命令が出たのは、被告人の怠惰な生活と暴力に、被害者が耐えかねたからです。 それなのに被害者の気持ちも気づかずに、一方的に復縁を迫り、被害者の母親に対する脅迫の文言まで述べて彼女に復縁を迫ったのです。 あまりにも短絡的な動機、経緯に酌量の余地はありません。 被告人は、近くを徘徊してはいけないという保護命令に違反し、被害者の家の窓を持参したナイフで割り、被害者の家の中で包丁と金槌をとって待ち伏せしており、周到な計画的犯行です。 また、被害者を殴り、加療2週間の怪我を負わせています。 しかも、『お前を殺して俺も死ぬ』などと言われて包丁を突き出されたわけですから、恐怖感は想像に難くなく、精神的被害も大きい。 今でも被害者は、被告人が来るのではないか、被告人が出てきたら私のところに来るかと思うと怖くて堪らないと述べており、刑務所に入ることを望むのも当然です。 これに対し被告人は、被害者が約束を破らなければ起きなかった事件などと自らを棚に上げて正当化してることに照らせば、今回の発言全てを措信するわけにもいかない。 今回のことは、保護命令に違反して傷害事件を起こしたというものですから、被告人自身が社会内での矯正は困難だと証明しています。 そして次こそは被害者の生命、身体に重大な被害を与えかねない。 被告人を徹底的に教育し、また、被害者の生命の安全の為にも矯正施設に入れるべきです。 以上、諸般の事情を考慮し、相当法条適用の上、被告人を 懲役2年に処するのが相当と思料します。 |
実はこいつは、平成16年3月頃に、不安精神障害で5回くらい通院してるそうです。
つまり若干、精神に障害があるんでしょうね。
というか、私の見た感じだと、もっと細かく検査すれば、他の障害も見つかるのではないかとさえ思いますね。
この際、全部治しとけばいいのに…。
でも、どちらにしろ後天性のものでしょうね。
しかし、以前にも述べたように、暴力性というのは血なのでしょうか。
凶悪犯罪者に多々見られるケースです。
我々の最も大きな誤りは彼女達が我々を愛していると信じていることではなく、
むしろ我々が彼女達を愛していると思いこんでいることである。
サシャ・ギトリ
こいつもひょっとすると、自分自身のプライドの為に彼女を繋ぎとめようとしてたのかもしれない。



