平成19年 刑(わ) 第1018号 常習累犯窃盗 金子二郎(63)
さて、本日は常習累犯窃盗の裁判です。
普段は窃盗の裁判は見ません。
見たとしても、記事にはしません。
でも今回は、あまりにも風変わりな被告人に失笑してしまったので、記事にします。
名前についても、窃盗なら目を瞑るが、強盗の前科があるので晒します。
起訴状
被告人は、同種犯罪で平成8年5月16日に東京裁判所で懲役2年。
平成?年?月?日に東京地裁において懲役3年。
平成15年6月17日に名古屋地方裁判所において懲役3年6ヶ月の刑を執行したものである。
本件は平成19年3月9日、丸の内ビル4階所在の店の通路から更衣室に侵入し、店内を物色したが、店員に見つかり、その目的を遂げなかったものである。
罪状認否
金子「建造物侵入は事実です。更衣室に入ったのも事実です。でも、窃盗はしてません」
判事「起訴状では、物色ってなってるけど、物色もしてないの?」
金子「はい、しておりません」
冒頭陳述
被告人は、少年の頃に少年院に入り、その後は刑務所に行ったり来たりの生活を送っていた。
強盗傷害、傷害、窃盗など前科7犯。
前刑も更衣室などに侵入し、窃盗を繰り返していました。
今回も、これまでのように更衣室で窃盗をしようと決意しました。
刑務所から出所した被告人は、仕事にも就かずに生活をおくっており、所持金が4253円になったことから、窃盗をすることにしました。
目撃者は、ハンガーラックの中に手を入れ、動かしているのを目撃し、なにをやってるんですか?と声をかけたところ、迷ってしまったなどと言ったが、警備員と共に現行犯逮捕し、警察に引き渡した。
ここで、なにを思ったか、金子が手をあげて言います。
金子「裁判長!ここ、大事なところなんでね、証人尋問をしてほしいんですけど」
判事「弁護人の意見は?」
弁護士「目撃者の証言と被告人の証言は、別に食い違ってるところはないと考えております」
判事「被告人。弁護人はこう言ってますが」
金子「検事さんの話だと一方的な言い分なんで、ここは証人喚問が必要だと思います」
判事「弁護人は被告人と打ち合わせをして下さい」
ここで弁護士と被告人の言い合いが始まりました…
私がこの時点で思ったのは、被告人はなにか勘違いしてるなと。
検察側の言い分が一方的なのは当たり前で、事実に対して検察側の言い分と弁護側の言い分を戦わせていくわけで、証言が食い違ってない以上、検察側の言い分に文句を言うのは変じゃないのか?って。
例えば検察が、論告で『卑劣極まりない犯行』と言ったとしますよね?
そこで、『そんなに卑劣な犯行じゃない!被害者の意見を聞きたいから、証人尋問して下さい』と、被告人が言ってるようなものじゃないですか。
個人的な印象は、裁判慣れしてるけど、頭が悪いなって感じました。
判事「被告人は納得したのかな?」
金子「う〜ん…。はい…」
判事「あのね、手を動かしたってところも違うの?」
金子「動かしてません」
これね、弁護人が食い違ってるところはないと言ってる以上、調書にそんな記述はないのでしょう。
ここにきて旗色が悪くなってきたので、急遽否認したように感じました。
判事「呼んで取り調べたほうが良いんじゃないの?」
検事「裁判長!不必要かと思います」
判事「弁護人の意見は?」
弁護士「相違があるということなので、証人請求します」
検事「裁判長!もしそうなら、争点を明確にしてもらいたいんですが」
判事「そもそも、物色ってどういう行為を指してるの?」
検事「冒頭陳述で述べた行為をしたということです」
判事「被告人。ハンガーラックに近づいたということは事実なの?」
金子「中央にいました。そこで立ってました」
判事「ずっと立ってたの?」
金子「はい」
判事「証人請求に対する検察官の意見は?」
検事「留保します」
判事「被告人。法律的な問題なんだけど、窃盗の着手の有無は、服に触ったか触ってないかじゃないんだよ。触ってなくても窃盗の着手と採られる場合もあるしね。それは分かってる?」
金子「はい」
結局、証人を呼ぶことになり、結審までいく予定がここで終了です。
う〜ん、分からない…
なんでこの被告人はこんな無駄なことをして裁判を引き伸ばすんだろ?
金がない以上、拘置所にいても良いことなんて全然ないし、どうせなら、さっさと刑務所に行って、早く出てきたほうが良いと思うんですが…
さすがに窃盗で有罪になると、今度は4年以上はかたいので、ビビッてなんとか建造物侵入という軽い罪にしたいと思ってるんですかね?
無駄な努力 乙!
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