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平成20年 合(わ) 第167号 殺人 木部秀子(36)
昨日の続きです。
弁護士「あなたは平成20年1月5日に結婚したんですね?」
木部「はい」
弁護士「勲さんは、あなたの家族に会いましたか?」
木部「はい」
弁護士「何処で会ったんですか?」
木部「北海道の実家で会いました」
弁護士「あなた自身は、その時に家族に会ったのはどのくらい期間が開いていたんですか?」
木部「半年ぶりだったと思います」
弁護士「生活費や食費は、勲さんから幾らくらい渡されてましたか?」
木部「生活費5万円、お小遣い5万円の10万円で賄ってくれと言われました」
弁護士「勲さんの収入は幾らくらいですか?」
木部「月に100万円だと思います。年が明けた時で200万円でした」
弁護士「勲さんの仕事の内容は?」
木部「例えば100万円を貸したら、利息が30万円なのか30%なのかで、返済しない人がいて、返せないなら物を買って、それをお金にすると聞いたことがあります」
ほら、またろくでもない男じゃん…。
弁護士「その30%は、どのくらいの期間の利息ですか?」
木部「1ヶ月だと思います」
弁護士「勲さんは何時間くらい働いてたんですか?」
木部「決まってませんでした」
弁護士「勲さんが仕事に行く時は、どんな格好でしたか?」
木部「基本的にロングTシャツとジーパンです」
弁護士「10万円を生活費で渡されてたそうですが、残りの収入はなにに使っていたんですか?」
木部「彼はクロムハーツというブランドが好きだったので、仕事が終ると紙袋をぶら下げて、これを買ってきたと言ったりしてました」
私も一時、クロムハーツをかなり買いました。
男なら、全てではないですが通る道だと思います。
弁護士「それは幾らくらいなんですか?」
木部「幅は広いですが、彼の買ってきた物は数万円の物でした」
まぁ、正直クロムは高いよね。
弁護士「あなたは生活費を上げてほしいと言ったことがありますか?」
木部「はい」
弁護士「勲さんはなんて言ってましたか?」
木部「そんなことはお前が言うことじゃない。そういた方がいいと思ったら、俺がそうするし。あと、お前も金か、その辺の女と同じかと言われました」
どんだけチンケな野郎なんだよ…。
弁護士「あなたは勲さんとの生活が辛かったですか?」
木部「はい」
弁護士「どの辺が?」
木部「やはり怒り出すと収まるまで物にあたったり、物を投げたり。あと、私はお願いしたことがあるんですけど、お願いだから冷静に話しをすれば喧嘩することもないんだから、冷静に話をしようと言ったんですが、駄目でした。あと、1番辛かったのは暴言です」
この暴言のところで泣き出しました。
弁護士「どんな暴言?」
木部「お前はなってないから、今からお前の父さんか兄さんに電話しろと言われ、私は嫌だと言ったんですが、電話させられました」
弁護士「あなたは自由に出かけてストレスを発散させるということは出来なかったんですか?」
木部「一度、化粧品を買いに行ったんですけど、俺が働いてる時に買い物に行くのは遊んでるのと同じだと言われたり、携帯電話を男性でも女性でも、特に男性は、男と女の友情はないんだから全部消せと言われて、解約させられました」
弁護士「消したら、誰かと連絡がとれなくなっちゃうんじゃないの?」
木部「兄と従兄弟以外は連絡がとれなくなりました」
弁護士「そうすると、彼が仕事に行く時は外出も出来ず、友達とか知り合いとも連絡がとれなかったんですか?」
木部「はい」
弁護士「相談する相手はいたんですか?」
木部「兄と従兄弟です」
弁護士「勲さんですが、怒る時に物にあたるとはどんなふうに?」
木部「壁を蹴ったり殴ったり、それでも怒ると椅子を投げて物を壊したりしました」
弁護士「あなたが殴られたことはあるんですか?」
木部「掴みあってると、顔は殴られないんですが、足があたったり、一度は顔を蹴られて鼻血が出ました」
弁護士「あなたと彼が喧嘩してた時、あなたは彼に言いたいことを言ってましたか?」
木部「言葉では到底適わないので」
弁護士「勲さんが男と女の友情はないと言ったそうですが、疑われるような関係はあったの?」
木部「ありません」
弁護士「あなたが先ほど言った以外に、辛かった勲さんの言葉はありますか?」
木部「お前が生活出来てるのは俺が仕事してるからだ、働いて俺と同じ給料を稼いでみろ。あと、1番辛かったのは、極論を言うと、お前は俺に生かされてるんだと言われたことです」
弁護士「どのくらいの頻度で喧嘩してたんですか?」
木部「11月か12月から1ヶ月に1度、年が明けてから1週間に2回、2月は1週間に3回は喧嘩してました」
弁護士「勲さんは喧嘩の時に包丁を持ち出してきたことがありましたか?」
木部「はい」
弁護士「1回や2回ですか?」
木部「1回や2回ではありません」
弁護士「それでどうするんですか?」
木部「包丁をテーブルに置いて、そのうちの1本を手にとって私の胸に突きつけて、かかってこいという顔で。私も包丁を手にとって突きつけたんですが、私は包丁を置きました」
弁護士「その時以外はどういうことをしてましたか?」
木部「ベッドの壁に包丁が刺さっていて、もう1本は左の枕の下にあったことがありました」
弁護士「喧嘩をすると、最終的に勲さんは寝室に行くんですか?」
木部「必ずです」
弁護士「どうしてですか?」
木部「どうしてか分からないんですけど、最終的に仲直りするのは寝室だったので」
弁護士「勲さんと別れようと思ったことはなかったんですか?」
木部「それよりも、なんとか…、仲良くやっていきたいと思ってました」
弁護士「3月1日のことですけど、勲さんは何時に帰宅したんですか?」
木部「夜中の1時頃です」
弁護士「帰宅した勲さんは、あなたとどんな会話をしましたか?」
木部「お帰りって言って、服にラメが付いていたので、それどうしたの?と言いました」
弁護士「そしたら勲さんはなんて?」
木部「お前、頭おかしいんじゃないのかと言いました」
弁護士「その後は?」
木部「どんどん怒り出して、後輩を無視しただろってことと、彼の会社の成績が下がったのはお前の所為だと言われて、どんどん怒り始めました」
弁護士「あなたはどうしたんですか?」
木部「謝りましたけど、彼の後輩に電話しました」
弁護士「電話して、なんて言ったの?」
木部「無視はしてないけど、車を降りる時に頭下げたと言いました」
弁護士「電話してる時、勲さんは怒ってましたか?」
木部「なに電話してんだと凄い怒ってました」
弁護士「その後、勲さんはどうしましたか?」
木部「まず椅子が飛んできました」
弁護士「それ以外にはなにをしましたか?」
木部「ガラスのテーブルをなにで突いたか分からないですけど、物凄い音で壊れました」
弁護士「あなた自身も怒りましたか?」
木部「怒るっていうのは、私が電話してる間に、私の携帯を見てどこかに電話してたんですけど、それが従兄弟だと分かって、こんな時間に電話したことを謝ってと言いました」
弁護士「椅子を投げるなど以外に勲さんはなにかしてましたか?」
木部「鞄から催眠スプレーを出して、これをかけたら1時間は目が開かないと言われました」
弁護士「その後は?」
木部「包丁と催眠スプレーを持って、寝室に行きました」
弁護士「その後、あなたが寝室に入っていった時、勲さんはどうしてましたか?」
木部「ベッドの上に立ってました」
弁護士「包丁と催眠スプレーはどこにありましたか?」
木部「枕の間にありました」
弁護士「あなたはどうしましたか?」
木部「私もベッドの上にあがりました」
弁護士「それでどうしましたか?」
木部「お互いに掴み合いました」
弁護士「その後、どういう体勢になりましたか?」
木部「お互い洋服を持ち合って、とっくみあいになりました」
弁護士「その時、殴ったり蹴ったりされましたか?」
木部「顔は殴られてませんが、足が飛んできて、バランスを崩して壁に足をぶつけました」
弁護士「その後は?」
木部「ベッドから落ちてしまったので、もう1回あがりました」
弁護士「その後は?」
木部「私は以前に自分が下になって、顔を蹴飛ばされたことがあったので、下になってはいけないと必死にふんばってました」
弁護士「ということは、あなたが上で勲さんが下の体勢になったんですか?」
木部「結果的にそうなりました」
弁護士「どんな体勢ですか?」
木部「彼の右太腿の間に私の太腿が…、私は彼の首を右手で押さえてたので、そういう体勢です」
弁護士「勲さんは仰向けだったんですか?」
木部「仰向けです」
こんな細い女性にマウントポジションとられるとか、どんだけモヤシだよw
弁護士「勲さんの手はどこにありましたか?」
木部「私の右手を掴んでました」
弁護士「その状態がどれくらい続いたのですか?」
木部「分かりません」
弁護士「その後、どうなりましたか?」
木部「仕返しするからな、もう別れると言われました」
弁護士「その後は?」
木部「死んでもいいからと言われました」
弁護士「それであなたはどうしたんですか?」
木部「もう別れると言われた瞬間に、彼を押さえていた手が離れたのを覚えていて、彼の手も離れて、私の視線はどこにあったのか分からないんですけど、もう…、もう…、駄目なのか…、なにも考えられない状態だったと思います」
弁護士「その後は?」
木部「その状態で呆然となってる時、彼から、刺すなら刺せ、死んでもいいと言われた瞬間、その時包丁を見たのか分からないんですが、彼の言葉が終った瞬間、包丁を手に持っていたと思います」
弁護士「包丁はどこにあったんですか?」
木部「彼の顔のすぐ横にありました」
弁護士「それで包丁を持って、あなたはどうしたんですか?」
木部「振り上げて、振り下ろしてしまいました」
弁護士「どこを狙って?」
木部「意識はありません」
弁護士「どうして刺したんですか?」
木部「私はその時、正気じゃなかったとしか思えません」
弁護士「何回刺しましたか?」
木部「1回だと思います」
弁護士「刺した後、勲さんはどんな状態でしたか?」
木部「血が出てきて、なにがなんだか分からない状態で、勲君と声をかけましたが、返事がなかったです」
弁護士「その状態を見て、どう思いましたか?」
木部「死んでしまったと思いました」
弁護士「何故、救急車を呼ばなかったんですか?」
木部「死んでしまったと思って、明確には覚えてないんですが、私も死のうと思いました」
弁護士「その後は?」
木部「台所から出刃包丁を持ってきて、彼の横に寝て、手首を2回切りました」
弁護士「結果的に勲さんを殺してしまったことをどう思ってますか?」
木部「無力だと思ってます」
弁護士「勲さんの家族に謝罪の手紙を書きましたか?」
木部「はい」
弁護士「どういうことを書きましたか?」
木部「こんなことになって申し訳ありませんでしたと」
弁護士「勲さんの家族は、それを受け取ってくれましたか?」
木部「受け取ってもらえなかったと聞きました」
弁護士「拘留生活はどうですか?」
木部「気がついたことがあります」
弁護士「どういうことですか?」
これに対する答えは終始大泣きでした。
被告人の家族も泣いてました。
私も落涙寸前に…。
木部「病院に入院した時、窓から見えた景色が、例えば今日は天気がいいなとか、普通に感じられることが感じられなくなっていたんだなと思ったり、警察の人とか兄から、こんな大変なことをしたのに、ジュースを買ってきてくれたり、頑張って下さいと言われたり、人は優しくすることが大切なんだと思いました。朝7時に起きて夜の9時に寝ることや、ご飯を食べるという、こんなことが大切なんだと思いました。私が生きてても、なにか意味があるんだなと思いました(涙)」
それ…、警察の人がジュース買ってくれたり、頑張って下さいとか言ったりするのは、被告人の魅力によるところが大きいと思いますよ。
職務的な賛否は置いておきますが。
弁護士「結果的に殺してしまったことについて、なんらかの償いをしなければいけないのですが、なにか最後に言っておきたいことがありますか?」
木部「私は自分のしてしまったことに無力だと痛感しています。彼の家族にどうすることが償いなのか、毎日思っています。それと心の中でごめんなさいとしか言えなくて、本当に申し訳ありません」
弁護士「勲さんと比べると、あなたの方が少し慎重が高いですよね?」
木部「はい」
弁護士「暴れてる勲さんを力ずくで止めることは出来ましたか?」
木部「もう見てるしかないと思ったこともあるし、私が叩いたこともありましたが」
弁護士「いや、勲さんのことを止めることが出来ましたか?」
木部「出来ません」
弁護士「あなたと勲さんは、どちらの方が力が強いですか?」
木部「分かりません」
え…。
分からないの?
その細腕で男に力で勝てるとでも?
いくらもやしっ子でも、さすがにそれはないわ。
被告人がゴツイ女性だったら別なんですがね。
それにしても、ここまでを聞く限り、私は彼女への同情を禁じえないわけです。
更に、これは殺意があったのかさえ微妙なのです。
彼女は本当に不幸で、それは彼女の男を見る目によるところが大きいとはいえ、こいつらのようなクズ野郎が存在すること自体が許し難いので、彼女の非というよりは、勲の落ち度が事件の重要な点だと感じるのです。
ですが、この後の反対尋問を聞くと、なんか裏切られた気分になりました。
なんというか、そういう必死な姿は見たくなかった…。
イメージが音をたてて崩れました。
それにしても、検察官はこの後に極悪求刑を出すんですけどね。
その方がよっぽど愕然としてしまいましたが…。
それはまた次回以降に。
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